手にできる水泡が発症してから10年になります。次第に症状は軽くなってきましたが、いまだに治療中。これまで様々な対策を試してきました。
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症状
最初は小さな水泡ができる程度でしたが、下の図のような悪循環を繰り返し両手とも次第にボロボロになりました。
症状が出ているときの写真です。最も悪化した時期に写真を撮らなかったので、これでも症状は軽い方です。爪も薄くなってしまい、横から見ると根元がくぼんでいます。
見苦しくてすみません!(>_<)
手は大抵のことに使いますが、その手が痛かったり刺激で痒くなったりするため、何をするにも躊躇するようになりました。
お風呂では、お湯の温かさとタオルを絞る刺激で手の痒みが頂点に達し、掻いたりこすったりをやめられなくなります。出社前のシャワーであまりの痒さに、既に皮がはがれたり切れたりした手を散々擦った揚げ句、動けなくなり遅刻したこともありました。子育て中は水仕事が多いうえに薬を塗る余裕もありません。
この辛さは経験した人にしかわからないと思います。同じ症状の人が「こんな状態が続いたらおかしくなるんじゃないかと思った」と話していたのを聞き、端的な表現だと思いました。そして、自分が辛いと感じていたことが大袈裟ではないことを確信しました。
これまで受けた処置と検査、対策
皮膚科では必ずステロイドの薬を処方されますが、それだけでは症状を抑えられません。他に試したことや病院で受けた処置、検査などです。
包帯で手がミイラのような状態に!
近所の皮膚科で処方される薬で効果が見られず、ひどくなる一方でした。この状態に耐えられず大学病院の皮膚科に行くと、一先ずステロイドと亜鉛華軟膏を患部に塗り、両手首から指先まで包帯で巻いてくれました。
ありがたいことに、包帯をしている間は痛みを感じません。常に痛みがある状態から救い出してほしいと願っていたので、包帯で包まれた状態が”天国”に思えました。
しかし、包帯を外すと状態が良くなっているわけではありません。しかも、水仕事、子供の世話、風呂、トイレなど、包帯をしていると不便なことが沢山あります。
歯の治療や歯科で使用する薬剤、金属アレルギーとの関連性
歯科治療の後に悪化する傾向がみられたので、金属アレルギーを疑い検査を受けました。背中に17種類の金属を張り付け皮膚の炎症をみる検査です。その間お風呂に入れず、判定のため最低3日は皮膚科に通わなければなりません。楽な検査ではありませんが、結果は全て陰性でした。
少し赤くなったり痒くなったりする金属もありましたが、その程度の反応は陽性とは言えないとのことでした。
水泡が発症した頃、歯の神経を初めて抜き歯の根の治療をしたので、それが原因ではないかと疑った時期もあります。それならばその歯を抜いてしまえばいいのではないかと、歯科で相談しました。水泡がそれほど辛い状態だったのです。
医師はその考えを否定しませんでしたが、抜くことは薦められないと真剣に言うので、思いとどまりました。歯を抜くと周りの歯が倒れてくるなど弊害が多いことを後から知り、その医師に感謝しました。
歯科で使用する薬品のアレルギー反応も東京医科歯科大学附属病院で調べましたが、原因は見つかりませんでした。同大学附属病院で『歯の根の治療でアレルギーが発生する可能性』について質問したときの回答は、次のようなものでした。
・神経は外の組織と貫通するものではないので、アレルギーの原因となることは考えにくい。
・根幹治療はどこでやっても同じ材料、薬剤を使用する。
・歯の根の部分が膿んで水疱ができるという可能性はある。
-
- X線で歯の根に問題はなかったため、自分には該当しないようです。
・歯の中に残す揮発性のある薬品で、発疹がみられることもある。
- 以前、ホルムクレゾールを使用した歯科治療後に、それまで見たことがない小さな赤い発疹が出たことがありました。薬品による発疹とは、恐らくそういったもので、手の水疱とは違うものと思われます。
乾燥でパックリわれる手の乾燥対策
乾燥の対策には塗り薬と漢方薬を服用しました。最初に飲んだのは温清飲。長く続けていましたが、「温清飲は胃に負担をかけるかもしれない」と、医師から温経湯への変更を提案されました。この2つの漢方薬で徐々に体質が改善されたのか、ゆっくりとですが、パックリ割れの症状は軽くなっています。
聖母病院 皮膚科を受診
特効薬が見つからず今までの処方薬は ”気休め” としか思えませんでした。そうやって、だましだまし、水泡と一生付き合うしかないと諦ていたのですが、もう一度治す決心をして、聖母病院の乾癬(かんせん)治療で有名な小林医師の診察を受けました。
同じく水泡に悩む男性が小林医師に診てもらい治ったという事例をテレビで見たことがきっかけでした。
このテレビで見た男性患者のように、原因を特定するために様々な診療科で検査することになると覚悟していたのですが、診断は異汗性湿疹。掌蹠膿疱症ではないので検査は不要でした。これを止めれば治るという明らかな要因があるのではなく、毎日の生活で気をつけなければなりません。
過去にも異汗性湿疹と言われたことはありましたが、そのときは処方された薬も含め、有効な改善策は見つかりませんでした。今回は診断や症状、治療方針の説明が端的で分かり易く、知識と経験が豊富な医師に診てもらえる安心感がありました。
発症の要因
異汗性湿疹は、汗が外に出切らず皮膚に溜まることで痒みや水泡の症状がでる湿疹です。
医師の話では、次のことから皮膚のバリアが低下し発症したのだろうということでした。
- 元々アトピー体質であること
- セラミド不足
- 神経が細かくストレスを受けやすい
紫外線療法(ナローバンドUVB)
元々は乾癬治療のための治療法で、アトピー症状の場合は一回照射しただけで症状が和らぐ人もいるそうです。今回、この画期的な治療法を知り、改善に向けて光が見えたように思えました。
ナローバンドUVBにより、皮膚疾患が改善される仕組みです。
私の場合は、症状が酷くなる時期だったこともあり週1回ペースで照射することになりました。
紫外線で効果が望めるなら、太陽光を手にあてても効果があるのか質問してみると、
「有害な物質も浴びることになるので、太陽光に直接あてるのは15分以下で」と言われました。
太陽光で治療なんて安易な考えでした…(-_-;
通常週1~2回照射。長期的な副作用としては、発癌性もあるので、”合計1000J(ジュール)を超えない、450回を超えないように照射する”と、同意書に書かれています。
こちらが照射の機器です。体幹にもアトピー症状があるときは全身用を数回使いましたが、通常は手の水泡の治療がメインなので、手を入れて照射する小さな機器を使用しました。
照射後1日程度は、刺激でおきる痒みが抑えられているようです。いつもお湯で痒くなるのに、治療後はその痒みがありません。
十数回ほど照射していた頃、10月になり症状が出なくなりました。ここ数年、冬に水泡は出ませんが、今年は例年より早く治まりました。
実はこのあと家の事情で通院できなくなったのですが、6月中旬までは症状がなく快適でした。
皮膚の症状を予防するために気をつけること
医師に言われた予防のためのアドバイスです。
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- 手を酷使しない
- 触って痒くなるもの(刺激物)は触らない
例えば、ある特定の野菜を切っていて痒くなるなら、その野菜は使わない。
家族のために頑張らず、皮膚に悪いものは使わないと割り切る!
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- 掻かない、擦らない
薬を塗ることも刺激となるので擦ってはいけない。薬はなじませて終わりにする。
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- 保湿
- 睡眠時間を十分にとる
- 栄養をしっかりとる
栄養が不足すると抵抗力がなくなる。
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- ストレスをためない
手はストレスで汗が出る場所だからだそうです。
- 水泡がでそうなときは、サルチル酸ワセリンまたは尿素を含む薬を塗り予防する
乾燥を防ぎ皮膚を良い状態に保つ 2020年4月追記
ここまで乾燥していると、いろいろな刺激が入ってしまい皮膚トラブルの原因がわからなくなるとのこと。改善のために勧められたのが、赤ちゃんからお年寄りまで使える、ヒルドイドソフトです。子供が小さいとき、皮膚の保湿のために処方されたのと同じ薬です。
これまでも処方されたことがありましたが、保湿剤で状態が良くなるのだろうか?と思い、実を言うと真面目に塗っていませんでした。でも今回「ヒルドイドは原爆のケロイドのために開発した薬」と聞き「ケロイドでも改善する薬なら是非試したい」と気持ちが変わりました。
塗る量は乾燥の度合いによって違うので「1日に1回は塗ってから30分経ってもしっとりした状態が続くまで塗り続けてください」とのことでした。その指示が具体的で分かりやすかったので、迷わず実践できました。
生活習慣とストレス
症状悪化の原因と考えられる生活習慣や環境の問題です。
1.食事
- 出産~出産後の栄養不足(十分に栄養を摂っていなかった)
- 栄養不足を甘いもので補う食生活
食べ過ぎた後、水泡が多く出る傾向がありました。自分のケースでは過食も禁物です。
2.ストレス
- 復帰後の職場環境
- 育児のために変化した生活
このような生活習慣とストレスは、放っておくと他の病気の要因にもなります。年齢とともに回復が遅くなってきたので、無理をせず体にいい生活を心掛けなければならないと実感しました。
今後の方針
医師の話などを参考に、今後は次のように対処するしていくことにしました。
症状 | 対処方法 |
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乾燥のみ | ヒルドイドソフト |
乾燥以外の皮膚症状がでたとき | アンテベートなどのステロイド+ヒルドイドソフト |
発汗のある時期・水泡がでそうなとき | サルチル酸ワセリン または、尿素を含む薬 |
水泡などで辛くなったとき | ナローバンドUVB療法を主治医に相談 |
サルチル酸ワセリンは、皮膚の角層を柔らかくして汗を出やすくするため、水泡を予防する効果があるそうです。市販薬であれば尿素を含む、ケラチナミン、ウレパール なども有効なようです。
栄養面では、お菓子や菓子パンなどを食事代わりにする生活をあらため、食事をしっかり摂るようにしました。人それぞれ原因は異なると思いますが、私の場合、要因の一つが栄養不足であった気がします。実際に、食事がおろそかになった日の後は、症状が悪化する傾向があります。できるだけ添加物が少ないもの、かつ、たんぱく質が少なめだったので、バランスも心掛けました。
食生活の改善、ヒルドイドソフト、サルチル酸ワセリン、ステロイド、ナローバンドUVB、
今後はこの方針で経過観察します。
2020年8月追記
暑くなり、水疱が出始めました。ナローバンドUVBに行う時間がないため、最近は、食生活の改善、ヒルドイドソフト、サルチル酸ワセリン、ステロイド、のみの対処となっています。水疱の時期真っ盛りですが、何とかしのげています。
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